硬式テニスと軟式(ソフトテニス)の違いとは?歴史やルールは?部活はどちらを選ぶべき?

2023-07-31更新
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監修
ゴンちゃん
テニスベア・アンバサダー
慶應義塾大学ではレギュラー2番手として、全日本学生テニス選手権大会や全日本大学対抗テニス王座決定試合で活躍。卒業後はYouTuberとして活躍し一躍有名に。2020年12月よりテニスベア・アンバサダーとしてテニスベアに参画。

プロ選手の試合が中継されることもあり、テニスというと黄色いボールを用いる「硬式テニス」を思い浮かべる人が多いと思いますが、「軟式テニス(ソフトテニス)」もありますよね。使用するボールが違うことはご存じかもしれませんが、それ以外にも異なるところがあるのです。

歴史や発祥・起源の違い

まずは、それぞれのテニスがどのように誕生して、発展してきたのか、歴史を見ていきましょう。

硬式テニスはフランス発祥

硬式テニスの原型は、フランスの修道院で行われていた「ジュ・ド・ポーム」と言われています。「手の平の遊び」といった意味で、まさに手の平でボールを打ち合っていたのです。やがてヨーロッパの貴族に広まっていき、その後、道具やルールができていきました。こちらの記事で、硬式テニスの歴史を詳しく説明しています。

軟式テニスは日本発祥

対して軟式テニスは、日本が発祥です。日本にも硬式テニスが入ってきましたが、テニスボールが高価で、また手に入りにくかったこともあり、ゴムボールが使われるようになりました。これが軟式テニスの始まりです。

中学校の部活動のテニス部といえば、ほとんどが軟式テニスだと思います。日本発祥のテニスのため、学校では軟式テニスのほうが受け入れられたのでしょう。テニスコートはすでに軟式テニス部が使用していますから、硬式用のテニスコートを新設しようとしても、特に地価が高い都心ほど難しいのです。コートの都合もあり、現状では軟式テニス部が多いと言えます。

競技人口・人気度の違い

前述した通り、中学校のテニス部は軟式テニスがメインですが、将来を見据えている人はジュニア時代から硬式テニスをしています。中学までは軟式テニスをしていても、高校あるいはそれ以降に硬式テニスに転向する人も多いのです。

競技人口の違い

硬式テニスの競技人口は、『日本のテニス人口(過去 1 年間に 1 回以上、硬式テニスを行った日本人の推計人口)』という定義に基づき、約343万人とされています(参照:日本テニス協会『令和元年度 テニス環境等実態調査』)。 軟式テニスの競技人口は、約54万人です(参照:公益財団法人日本ソフトテニス連盟『ソフトテニスの歴史』)。

大会制度の違い

硬式テニスの公式大会は、日本テニス協会が主催しています。大会に出場して勝利をすることでポイントを獲得し、ランキングを上げていきます。まずは全日本選手権といった国内での大会で実績を積み上げ、ATPやWTAツアーに参加して世界の強豪と戦います。

軟式テニスは、公益財団法人日本ソフトテニス連盟が管理しています。硬式テニス同様、国内で行われる全日本選手権などで成績を収め、国際大会へと進みます。ソフトテニスの4大国際大会は「世界選手権大会・アジア選手権大会・アジアカップ・アジア競技大会」で、それぞれ4年に一度開催されます。つまり、ローテーションで毎年、いずれかの大会が行われているのです。

コートや道具の違い

硬式テニスと軟式テニスは「テニス」という括りにはなりますが、コートや道具は少し異なります。

コートの違い

公式テニスと軟式テニスで、コートを構成するライン、特にサイドラインが異なります。硬式テニスのコートでは、両ベースラインを結ぶサイドラインが2本あります。内側の線をシングルスで使うために「シングルスライン」、外側を同じく「ダブルスライン」と呼びます。

一方、軟式テニスのサイドラインは、硬式のシングルスラインが、サービスラインで切れています。つまりサービスにしか使わないラインであるため、「サービスサイドライン」と呼びます。軟式テニスのコートを上から見ると、独立した長方形のラインでサービスコートを形成していることがわかります。

また、硬式テニスのコートサーフェス(表面の素材)は、クレー・砂入り人工芝・ハード・グラス・カーペットと5種類あります。こちらのページで、それぞれの特徴を説明しています。

軟式テニスでは、クレーや砂入り人工芝のコート、体育館がよく使われます。グラスコートはありません。

ネットの違い

コートでの一番大きな違いは、ネットです。ネットの高さは、硬式テニスは91.4cm、軟式テニスは107cmです。

そして、真ん中のセンターベルトの有無も違います。センターベルトは硬式テニスのみで、軟式テニスでは使いません。センターベルトによってネットの真ん中を引っ張っているので、硬式テニスの場合は真ん中と両端の高さが違うのです。

真ん中から両端に向かって少しずつ高くなっているので、硬式テニスでは端になるにつれネットしやすくなります。センターベルトのところは91.4cmで、両端は軟式テニスと同じ107cmです。軟式テニスのネットはセンターベルトを使わないため水平で、端から端まで107cmと高さが一定です。

ボールの違い

硬式テニスと軟式テニスの違いは?とテニスをわかる人に聞くと、真っ先に出てくる答えが「ボール」ではないでしょうか。見た目も仕様も全く異なります。

硬式テニスで使うボールは「プレッシャーボール」と「ノンプレッシャーボール」の2種類ありますが、どちらも硬くて厚い球状のゴムの表面にフェルトが貼られています。反発が強くてよく弾み、弾んだ後のスピードも速くなります。なお、硬式テニスのボールについては、ここで詳しく説明しています。

軟式テニスのボールは、空気が入った薄いゴム製です。硬式テニスに比べて、打ったボールの初速が速く、特にバウンド後は急激に減速します。なお、軟式テニスのボールには、空気を入れて繰り返し使うことができます。

また、ゴム製で軽いため、回転や風の影響をより強く受けます。軟式テニスでは「カットサーブ」と呼ばれる、アンダーで強烈に逆・横回転をかけ、バウンド後に低く鋭く斜めに弾むサーブを打ちます。硬式テニスのサーブとは全く違う弾み方です。

ボールの大きさは同じくらいですが、重さはだいぶ違います。硬式のテニスボールは56.0~59.4gで、軟式のテニスボールは30~31g。軟式のボールは軽いため、風に影響されやすくなります。

ラケットの違い

ボールの違いに合わせるような形で、ラケットも当然異なります。

軟式テニスに比べて硬式テニスのほうがボールが重く衝撃も大きいため、ラケットも強い衝撃に耐えられる作りになっています。重量は250~340gで、テンションは40~60ポンドです。フレームの見た目もしっかりしています。硬式テニスラケットのブランドについて、こちらのページで紹介していますので、ご参考にしてください。

軟式テニスのラケットの重量は硬式テニスより軽く、180~270gです。フレームも細く作られています。テンションも25~30ポンドと低く設定されています。ラケットが軽い分振り抜き易く、一般的には軟式テニスの方がスイングスピードが速いとされています。

ルールの違い

次に、ルールの違いを説明します。コート内のボールをワンバウンド以内で打ち返す、という基本的な形式は変わりませんが、ポイントの数え方や、ダブルスでのルールについては大きく違う点がいくつかあります。

ポイントの数え方(カウント)の違い

硬式テニスのカウントは一見難しいので、慣れていないとわかりにくいものです。「0(ラブ)」から始めて、1点取るごとに「15(フィフティーン)、30(サーティー)、40(フォーティー)、ゲーム」とカウントします。4つポイントを取ったら、1ゲームが終わりです。こちらで、ポイントの数え方や基本的なルールを説明しています。

軟式テニスも4つポイントを取れば1ゲーム終了ですが、数え方はとてもわかりやすいです。「0(ラブ)、1(ワン)、2(ツー)、3(スリー)、ゲーム」となります。

なお、硬式テニスの40-40、軟式テニスの3-3の状態はどちらも「デュース」と呼びます。

ダブルスのサーブを打つ順番の違い

ダブルスのときのサーブも、硬式テニスと軟式テニスでは違います。ここが、どちらかの経験者にとっては、間違えやすい点でもあります。

硬式テニスは1ゲームが終わるまではずっと同じ人がサーブをします。ダブルスのルールやサーブの順番について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

一方、軟式テニスは、2ポイントごとにサーブを交代します。AさんBさんペアとCさんDさんペアを例にして説明します。

1ゲーム目はAさんのサーブで始まったなら、2ポイント入った時点でBさんがサーバーとなります。2ゲーム目の始めはCさんがサーバーで、2ポイント入ったらDさんがサーバー。以降、3ゲーム目はAさんのサーブから・・・となるわけです。つまり、サーブ権は1ゲームが終わるまで移りませんが、サーバーは2ポイントごとにペア内で代わるのです。

ダブルスでの役割の違い

テニスのダブルスでは、基本的に雁行陣と呼ばれる陣形を取ります。ペアのうちいずれかがベースライン付近でストロークをし、いずれかがサービスライン付近でボレーをするというものです。

上述したサーブの動き方にも関連しますが、硬式テニスではペアの両方がストロークとボレーの両方を打つ機会があります。しかし、軟式では、主にストロークしか打たない後衛、主にボレーしか打たない前衛が存在します。

軟式テニスではダブルスが主流であるため、前衛と後衛に特化した練習を行い、スキルを磨く傾向が強くあります。

 軟式テニスから硬式テニスへの転向

日本では軟式テニスが学校を中心に発展した背景が大きく存在するため、中学時代はテニス部で軟式テニスをしていたけれど、高校あるいは社会人サークルから硬式テニスになったというパターンをしばしば見かけます。

同じ「テニス」と言えど、ここまでで両者には違いが多くあることを確認してきました。軟式から硬式に転向する場合に注意すべき点を、以下にまとめました。

 ルールを理解する

カウントのしかたやサーバーの交代など、まずは硬式テニスのルールを理解しなければなりません。大きな違いはありませんが、ラインの意味やカウントの数え方などは、すぐに覚えましょう。

また、大きな違いとして、硬式テニスでは前衛と後衛といった違いがありません。軟式テニス経験者は、どちらかに得意不得意があるものですが、硬式テニスではどちらのスキルも求められます。苦手意識を持たずに、基本練習をしっかり行いましょう!

基本の打ち方を理解する

ラケットやボールが重い硬式テニスのほうが打ったときの衝撃が大きいので、軟式テニスの打ち方のままバンバン打っているとケガをする恐れがあります。

ボールに当てる角度やフォロースルーも違ってきます。ボールを押しつぶすように打つ軟式テニスのフォームのままだと、硬いボールを押さえきれずに、大きくアウトしてしまうようなケースがあります。軟式経験者は、インパクトしてから斜め上に振り抜くことを意識するといいでしょう。

また、テイクバックを小さくするように心がけることも重要です。ラケットが重いことや、バウンド後の球足が速いことにしっかりと対応し、振り遅れないようにしましょう。

特に、バックハンドには大きな違いがあります。軟式テニスでは、手の平を正面に向けてフォアハンドと同じ面でバックハンドを打つ人ことが一般的です。 硬式テニスでは、フォアハンドとバックハンドは反対の面を使います。バックハンドは手の甲を正面にして打ちます。また軟式テニスのバックハンドが片手なのに対し、硬式テニスは両手(片手の人ももちろんいます)で打つことで、重たいボールでも安定して打ち返すことができます。

軟式テニスの後衛の経験者の中には、軟式テニスと同じ面で硬式テニスのバックハンドを打つケースをよく見かけます。たしかに最初の抵抗はその方が少ないかもしれませんが、手首や肘により大きな負担がかかってしまったり、そもそもボールが打ち返しにくかったりと弊害があるので注意しましょう!早いうちに、硬式テニスの手の甲の面でインパクトする打ち方を覚えることをおすすめします!

フォアやバックでのストローク以外にもボレーやサーブも、ぜひ硬式テニスの基本の打ち方をマスターしましょう。多少時間がかかったとしても、まったくのテニス初心者よりも、上達は早いはずです。

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