テニスのボレーをプロコーチが動画で解説 コツや練習方法もご紹介!
テニスの試合では、ボレーをきっかけに流れが変わる場面が多々あります。一口に「ボレー」と言っても種類があり、多彩な展開が可能です。しかし、前に詰めてプレーする分、スピード感が増すので、ボレーを苦手に感じる方も多いのではないでしょうか。プロが教える動画で、ボレーのコツを見ていきましょう。
テニスにおけるボレーの役割・重要性
ボレーには、相手が打ってから速いタイミングで返せる、相手にスピードボールだと感じさせられる、角度をつけたコースを狙える、相手にプレッシャーをかけられるといった効果があります。
相手に余裕を与えないので決まる確率が高くなりますし、ラケット面やタイミングをうまく合わせればパワーがなくても勢いのあるボールが打てます。つまり、ボレーで積極的に攻めることができると、試合を優位に進められるのです。特にダブルスでは前衛の役割は大きいので、ぜひ極めたいショットです。
ボレーの3つのコツ・ポイント
それでは、フォアハンドを打つ時のコツ・ポイントを解説していきます。最初は初心者向けの解説をします。一度にたくさん意識するのは難しいですが、しっかりとポイントを押さえましょう!
ポジショニングとラケットを構える高さ
ボレーは、自分が立っている位置によってラケットを構える高さが異なります。自分がどこにいるのか、どこで待つかを考えながら、ラケットを構える位置を意識します。
ベースラインからサービスラインの間くらいで打つファーストボレーは、高い位置でボールを取ることはほぼありません。そのため、「ローボレー」や場合によっては「ハーフボレー」で打てるよう、腰より低くラケットを構えます。
もう一歩前、サービスライン付近では高いボールも低いボールもくる可能性があるので、胸あたりの高さにラケットをセットして、ローボレーかミドルボレーで対処します。
ネット際まで詰めたら、基本的に高いところで準備し、ハイボレーで返します。
ボレーはノーバウンドで取るので、ラケットの真ん中に当てるのが難しいショットです。しかし、その分前に詰めてラケットの真ん中に当てることができれば、十分攻撃になります。強く打とうとするよりも、真ん中に当てることがキーポイントです。
肘を引かない(目線を変えずに詰めていく)
ボレーで注意したいのは、目線を変えないことです。早いタイミングで打つボレーにおいて、目線を移してしまうことは時間の無駄であり、後手に回ってしまってせっかくの攻勢が止まってしまいます。
足元で取るローボレーのときには、頭の位置も低くなったり、ハイボレーのときは体が伸びてしまったりしがちですが、どの高さで打つときも目線や重心を変えないほうが安定します。
また、横を向くことでも目線が動いてしまい、次にきたボールがブレて見えてしまいます。横を向いてしまう原因のひとつに、肘を引いてボレーをしてしまうことが挙げられます。特にローボレーの際、小手先でラケット面を変えてボールを上に持っていこうとすると、肘を引きすぎるので顔も動いてしまいます。
それを防ぐために、肘の位置はほぼ変えないままラケット面を開かせるのです。そうすることで、ボールの下にラケットが入り、ボールを捉えやすくなります。肘を引きすぎず、コンパクトに動かして真ん中に当てることが重要です。
スプリットステップを前傾姿勢で踏む
ボレーは基本的に攻撃のショットなので、守るのではなく、前に詰めてボールに素早く反応しなければなりません。そのためのワンポイントとして、ボレー前のスプリットステップは前傾姿勢で行いましょう。前傾姿勢でスプリットステップをすることによって、その反動でスムーズに前に出られるからです。
スプリットステップを踏む時に、真上に飛ぶのではなく、足を少し後ろに下げてジャンプします。足を引くことで前傾姿勢がとりやすく、その後足が自然に前に出ます。
ボレーの戦術で意識すべきポイント
ボレーは打ち方だけでなく、戦術ありきのショットです。ゲーム中にボレーをするときには、状況やそれに合った戦術をしっかりと意識しておくことが非常に重要です。
ここでは、そんな戦術のひとつをご紹介します。
一発で決めようとせず、相手にミスさせることを考える
ボレーを打つときはバシッと攻めたくなりますが、チャンスボール以外は一発で決めようとしないことです。自分のボレーで決めるのではなく、どうやって相手にミスをさせるかがポイントとなります。
基本的な前衛のポジション(センターライン寄り)に立ってすべての範囲を守ろうとしても、実はどこも守れておらず、相手にはプレッシャーがかかりません。例えば、基本のポジションよりも外側に立つとクロスにオープンコートができるので、相手はそこを狙って打ってきます。
つまり、それを逆手に取ると、それがわかるのであれば止めに行くことができますし、相手が苦手なコースにわざとオープンスペースを作るだけでミスしてくれる可能性が高くなるのです。
ダブルスにおいては、どうやって相手にミスをさせるのか、ということが前衛の駆け引きです。基本ポジションをベースに、前に出るとロブを打ってきますし、後ろにいれば前を狙われます。逆に、相手にとって難しいコースにスペースを空けることで、そのスペースを狙うように誘うことができたり、相手のミスを誘導したりできるわけです。
さらに、相手にロブを打たれないために、浅く低く落とすことができれば完璧です。
ボレーの練習方法
ここまでボレーの打ち方や戦術を紹介してきました。それを自分のものにするための、欠かさず練習も実施しましょう!
3点打ち(ローボレー・ミドルボレー・ハイボレー)
少しずつ前に詰めながら「ローボレー」「ミドルボレー」「ハイボレー」の3点打ちの練習をします。ボレーヤーはまずエンドラインよりも少し前あたりでローボレーを打ち、サービスライン付近まで出たところでミドルボレーを打ちます。3球目はネット近くまで詰めてハイボレーです。球出し役は、ローボレーやミドルボレーはお腹よりも低い位置にボールを出し、ハイボレーのときは山なりの高いボールを出します。
『ポジショニングとラケットを構える高さ』の箇所でも説明した通り、自分が立っている場所によってラケットの高さを変える、目線や肘を動かさない、といったポイントを意識して取り組みましょう!
1球目をアプローチか、あるいはサーブやリターンにすることで、より実践的な練習になります。
ボレー対ストローク
一人がボレー、コートを挟んでもう一人がストロークを打つボレー対ストローク、通称ボレストです。テニスプレーヤーの中では非常に馴染み深い練習のひとつです。ボレーヤーは、スプリットステップ時の前傾姿勢を意識することで、ストロークに素早く反応したり、ポジションを上げたりすることを意識しましょう!
ボレー対ストローク(難しいところへ打たせるver.)
ボレー対ストロークをさらにバージョンアップさせ、ダブルスの試合に生かしてみましょう。ボレーヤーはシングルスコートを守って、アレーを空けるようにします。相手にとってはアレーが空いているように見えますが、そのスペースは案外狭く、またネットも高いため、難しいショットを強いることができます。
このように、相手にとって難しいコースをわざと狙わせることによって、相手にプレッシャーをかけることができるのです。
安定したフォームを手に入れよう
これまで説明したことを頭に入れて練習を重ね、安定したフォームでボレーが打てるようになりましょう。自分でポイントが取れるボレーを打てるだけでなく、相手に打たせてミスを誘うこともできます。結果、相手にプレッシャーをかけられるようになり、ボレーが楽しくなってきますよ!