テニスのダブルスのルールは?初心者が間違えやすいサーブの順番などを解説
テレビ放送されるテニスの試合はシングルスが多いので、テニスをしていない人にはダブルスは馴染みや興味がないかもしれません。シングルスに比べラリーが続かずポイントもすぐに決まります。しかし、ダブルスは意外と奥が深く、知るほどになかなか面白いものなのです。
また、テニスプレーヤーの方にとっては、コートが不足している状況において、何かとダブルスを行う機会が増えているのではないでしょうか。
ここではダブルスの基本的なルールについて解説します。
シングルスとダブルスの違い
細かいルール説明の前に、シングルスと違う、ダブルス特有のルールをご説明します。まずはこちらを前提知識として押さえておいて、後ほど細かいルールを把握していきましょう!
コートの広さ
まず、シングルスとダブルスではコートの広さが異なります。縦は同じですが、横幅はダブルスのほうが少し広くなっています。
ネットに向かって立つと、左右にラインが2本あります。内側はシングルスラインで、外側がダブルスのときに使うダブルスラインです。それ以外のラインはシングルスと共通です。サーブもシングルスと同じなので、サーブのときは内側のラインの中に入れなければなりません。
パートナーにボールが当たると失点
シングルスとダブルスの大きな違いといえば、ダブルスにはパートナーがいることですね。ダブルスでは、自分のパートナー(体、ラケット、ウェアなど)にボールが当たると、ミスとしてジャッジされます。
たとえば、自分がサーバーのとき、自分のパートナーにサーブを当ててしまうと「フォルト」になります。または、ラリー中、自分のパートナーに打球を当てると「失点」です。
ダブルスの基本はボレー
ではここから、ダブルスの基本的な考え方を押さえていきます。
テニスは基本的に、ネットに近い所から打てるボレーが有利とされています。そのためシングルスでは、相手の体勢を崩すなどしてチャンスをうかがい、前に出てボレーで決めます。
しかし、ダブルスにおいてはどうでしょうか?各ペア1人は必ずサーブかレシーブで後ろにいなければいけませんが、もう1人は最初から前にいることができ、甘いボールが来たら常にボレーで決めることができます。
そのため、ダブルスのポイントは基本的に、後衛同士がストロークでラリーしている途中に、前衛が割り込んでボレー(ポーチボレーと言います)をする、という構図になっています。
これはダブルスをプレーする上でも、観戦する上でもとても重要なことなので、しっかりと理解しておきましょう!
基本のフォーメーション
コート内に2人いるダブルスは、それぞれの立ち位置も勝負に影響します。ゲームの流れや相手ペアのプレースタイルなど、そのときどきでフォーメーション(陣形)を変えられると勝利へ近づきます。ダブルスの基本的なフォーメーションを2つご紹介します。
雁行陣
先述したように、ペアの1人はサーバーあるいはレシーバーなので、必然的に1人は後方(後衛)にいます。残りの1人は攻めるために前(前衛)にいる形でポイントが始まります。この「1人が前、1人が後ろ」の状態を「雁行陣」と言います。
雁行陣のプレースタイルは、後衛がストロークでラリーをし、前衛がボレーで決めるというパターンが多くなります。雁行陣は攻守のバランスがよく、前衛と後衛の役割がはっきりしているので、安定したプレーができます。
並行陣(平行陣)
2人が前後に立つ「雁行陣」に対して、ほぼ並行するのが「並行陣」です。2人がエンドライン付近に立つ「2バック」というスタイルもありますが、並行陣と言った場合は2人サービスラインまで攻め上がっているフォーメーションを指します。
サーブから始まるので最初は雁行陣ですが、後衛だったサーバーやレシーバーがショットと同時に前に詰めて並行陣になります。後衛がサービスライン近くまで出てくると、前衛は少し前に出てネットに詰めます。
2人が前方で守備&攻撃をする並行陣では、素早い反応とネットプレーの技術が必要です。この2つを持っていれば、並行陣は相手にプレッシャーを与え、攻撃的なプレーができます。
「ダブルスの基本はボレー」でしたよね。2人が前でボレーをしていると、相手は壁のように感じてどこに打てばいいかわからなくなります。横を抜くパッシングショットか高く上げてロブを打つか難しいボールを返さなくてはいけなくなるので、相手がミスをしたり甘いボールがきたりする可能性が高くなります。強烈なストロークに対応できるフォーメーションです。
サーブ
ダブルスは4人でゲームをしますが、4人全員がゲームごとに順番にサーバーとなります。慣れないうちはサーブのルールに戸惑うかもしれません。AさんとBさんペア、CさんとDさんペアがダブルスのゲームをする場合を想定して、ダブルスのサーブについて説明していきます。
順番が決まっている
4人のサーブの順番は決まっています。サーバーが交代するのは1ゲームごとで、1ゲームが終わるまでは同じ人がサーブをします。
どちらのペアが先にサーブするのかを決めてからゲーム開始です。そして、ペア内でのサーブの順番も決めておかなければなりません。
ペア内での順番は、それぞれAさんとCさんが最初にサーブすることになりました。AさんBさんペアのサーブから始まる場合のサーブの順番は、1ゲーム目はAさん、2ゲーム目はCさん、3ゲーム目はBさん、4ゲーム目はDさんがサーブします。5ゲーム目はまた、Aさんに戻ります。つまり、交互にサーブ権が移ります。
CさんDさんペアからサーブするなら、「Cさん → Aさん → Dさん → Bさん → Cさん・・・」となります。
ポイントごとに左右に移動
サーバーは、1ポイントが終わるたびにサイドを移動してサーブを打ちます。右側のデュースサイドからスタートし、最初のポイントが決まると、次は左側のアドバンテージサイドからサーブします。右・左・右・左とポイントごとに移動してサーブを打ちます。シングルスと同じ動きですね!
サーバーのパートナーもポイントごとに移動します。基本的に、サーバーとは逆サイドに移ります。サーバーがデュースサイドからサーブするときは、アドバンテージサイドでスタンバイします。
このように、サーバーの時は、プレーヤーがポイントごとに横に移動していきます。
レシーブ
次にレシーブ側です。サーブの説明と同様に、AさんBさんペアとCさんDさんペアのゲームを例にします。
サイドが決まっている
サーブの順番の他に、デュースサイドとアドバンテージサイドのどちらでレシーブするのかもペア内で決めておきます。その位置は、1セットが終わるまでは変更できません。
なお、ルール上ではセットが終わればサイド変更できますが、試合でサイドを変えるペアはほとんどいません。それぞれ得意なショットがあったり、固定ペアなら練習段階からサイドを固定して練習しているはずなので、変える必要がないということです。
サーバーは1ゲームが終わるまでは同じ人ですが、レシーバーはサイドが決まっているということで、1ポイントごとに変わります。Aさんがサーブをし、Cさんがデュースサイド、Dさんがアドバンテージサイドでレシーブする場合を見ていきましょう。
Aさんのサーブでゲームが始まりました。まずはCさんがデュースサイドでレシーブします。2ポイント目はAさんがアドバンテージサイドに移動してサーブをし、Dさんがアドバンテージサイドでレシーブします。3ポイント目はデュースサイドのCさん、4ポイント目はアドバンテージサイドのDさんと順番にレシーブをしていきます。
ポイントごとに前後に移動
レシーブ側も、ポイントごとに移動します。サーブの場合は左右でしたが、レシーブ側はサイドが固定のため、前後に移動する形になっていると覚えましょう!
自分がレシーバーのときは後ろに、パートナーがレシーブするときはボレーに備えて前方に立つので、ポイントごとに前後に移動することになります。つまり、サイドは変わりません。デュースサイドでレシーブする人は、基本的にずっとデュースサイドにいて、下がるか、前に出るかの前後移動のみ行います。
特殊なフォーメーション
ダブルスの基本的なフォーメーション「雁行陣」と「並行陣」をご紹介しましたが、ダブルスのフォーメーションは他にもあります。最後に例外的なフォーメーションを見ていきましょう。
オーストラリアン・フォーメーション
オーストラリアの選手が始めて「オーストラリアン・フォーメーション」と呼ばれるようになった特殊な陣形です。通常、サーバー側の前衛は、サーバーとは逆サイドに立っているものですが、このフォーメーションは2人が同じサイドにいます。
半面が空いているので、2人ともセンター寄りにポジショニングし、サーバーはサーブを打ったらすぐ逆サイドに移動します。
奇をてらうような作戦で一時期流行りました。レシーブがクロスに返ってくれば前衛がボレーできるので有利なのですが、それ以外のコースに対応するのが難しいので、最近はほとんど見ないフォーメーションです。
アイ・フォーメーション
「アイ・フォーメーション」はプロがよく使うので、見たことがある人もいらっしゃるでしょう。相手のクロスリターンが鋭いときに有効です。
これもサーブのときに使うフォーメーションで、サーバーとサーバー側の前衛と相手のレシーバーの3人が、一直線上に並んでいる状態です。前衛はほぼセンターに位置し、サーブの間はしゃがみこんでいます。
そして、サーブがネットを超えた瞬間に立ち上がって左右どちらか(事前に決めておく)に移動します。サーバーはセンター寄りに立ち、コースはセンターを狙います。サーブを打ち終わったら、前衛とは逆へ動きます。前衛が動いたほうにリターンがくれば、前衛は素早くボレーで決めるチャンス。
こちらも奇をてらうような戦略で、相手にプレッシャーを与え、ミスを誘うことができます。