テニスで歴代最高・最強の記録とは
テニスのプロ選手たちは、年間を通して世界中大会の会場へ渡り、試合をしています。その結果もらえるポイントを積み重ねて、ランキングが決まるのです。この仕組みを「ツアー」と呼びます。
ツアーでは、選手たちがしのぎを削りながら戦っている中で、様々な記録が生まれます。テニス界においての記録を見てみましょう(ご紹介する記録は、2020年5月現在のものです)。
ツアータイトルの記録
まずはベーシックに、大会での優勝、つまりタイトル獲得に関する記録を見ていきましょう!
グランドスラム達成者
「グランドスラム」とは、テニスの4大大会と言われる「全豪・全仏・全英・全米」で、ツアーの中で最も大きくて歴史ある大会を指します。そして同時にグランスラムという言葉は、この4大大会すべてに優勝するという意味もあります。
プロ転向後から引退までのキャリアの中で4大大会を制すると「キャリアグランドスラム」と呼ばれ、男子シングルスでは今までに8名、女子シングルスでは10名の選手がいます。
男子ツアー
- フレッド・ペリー
- ドン・バッジ
- ロッド・レーバー
- ロイ・エマーソン
- アンドレ・アガシ
- ロジャー・フェデラー
- ラファエル・ナダル
- ノバク・ジョコビッチ
女子ツアー
- モーリーン・コノリー
- ドリス・ハート
- シャーリー・フライ
- マーガレット・スミス・コート
- ビリー・ジーン・キング
- クリス・エバート
- マルチナ・ナブラチロワ
- シュテフィ・グラフ
- セリーナ・ウィリアムズ
- マリア・シャラポワ
長きにわたってテニス界を牽引し、テニス史に名を残してきた選手ばかりです。往年の名選手の中には、その名前がブランド名や大会会場のコート名として残っているものもあります。
また、1シーズンを通してグランドスラムを達成した場合は「年間グランドスラム」と言われます。年間グランドスラムは、キャリアグランドスラムよりもさらに難しいであろうことは想像できますよね。
これまでの年間グランドスラム達成者は、男子では2名。1938年のドン・バッジ、1962年と1969年の2回も達成したロッド・レーバー。女子は、1953年のモーリーン・コノリー、1970年のマーガレット・スミス・コート、1988年のシュテフィ・グラフの3名しかいません。
ゴールデンスラム
4大大会を制覇するグランドスラムに加え、オリンピックでも優勝すると「ゴールデンスラム」と呼ばれます。オリンピックは4年に一度しかありませんから、まず出場する機会が限られます。またトップ選手でも、国を背負って戦うオリンピックはさらなるプレッシャーがあります。
ゴールデンスラムを獲得したのは、男子のアンドレ・アガシ(1966年アトランタ五輪)とナダル(2008年北京五輪。2016年リオデジャネイロ五輪はダブルスで優勝)、女子のグラフ(1988ソウル五輪)とセレナ・ウィリアムズ(2008年北京五輪・2012年ロンドン五輪)のわずか4名です。
グラフは、ソウル五輪で優勝した年に4大大会すべて優勝しているので、テニス界唯一の「年間ゴールデンスラム」達成者でもあります。おそるべき記録です。
シングルスタイトル数
シングルスの大会で最も多く優勝しているのは、男子は109勝のジミー・コナーズです。現役のフェデラーが103勝で続いているので、どこまで記録を伸ばすか楽しみですね。
女子では、マルチナ・ナブラチロワが167回も優勝しています。あのセレナ・ウィリアムズでも72回ですから、どれほど偉大な数字かわかります。
ツアーランキングの記録
ツアーでいい成績を残していくと、ランキング上位に名を連ねることができます。トップ選手としてランキングを維持するには、タイトルを獲得することはもちろん、出場回数や勝利回数も重ねていかなければなりません。
プロツアーは、1週間ごとにポイントを集計してランキングを決定しています。それでは、1位を長く守っている選手は誰なのでしょうか?
1位最長継続期間-男子
男子のランキング1位に長く居座っていたのは、フェデラーの310週です。ただし、ジョコビッチが282週で追っているので、直近で入れ替わる可能性があります。
1位最長継続期間-女子
女子の1位最長継続期間は、グラフの377週です。2位のナブラチロワは332週ですから、ゴールデンスラムも達成しているグラフの安定した強さを物語っています。
試合中での記録
テニスは試合中にもさまざまな記録が誕生します。これまでで最も時間のかかった試合と最も早いサーブの記録を見てみましょう。
最長試合
最近のプロテニスは時短傾向が見られ、選手に負担をかけないようなルール改正が行われています。そのきっかけとなったのが、この試合とも言えるでしょう。
2010年のウィンブルドン(全英)、ジョン・イズナー対二コラ・マユの1回戦でのこと。お互いに2セットずつ取ったところで日没になったため、翌日に持ち越されました。
2日目は第5セットから再スタートしましたが、最終セットは2ゲーム差をつけるというルールのため、ゲームカウント59-59までいったところでまたもや日没に。3日目に突入した試合は結局、70-68までいってイスナーが勝ちました。試合時間は、なんと11時間5分。
以前から試合の制度は問題視されていたものの、この試合では特に両選手の体力と精神力の消費が大きく、運営側が本格的に体制を整える契機となりました。
ちなみに、ウィンブルドンで2番目に長かった試合もイズナーでした。2018年の準決勝で、相手はケビン・アンダーソン。6時間36分もかかった試合は、最終セット26-24でアンダーソンが勝利しました。
最速サーブ
サーブは身長が高いほうが有利とされていますが、やはり高身長の選手がサーブのスピードランキングで上位を占めています。
男子は、身長193cmのサム・グロスが時速263kmのスピードを叩き出しました。ランキングを見ていくと、40人近くの選手が時速230Km以上のサーブを打っています。
どちらかというと体の小さい日本選手ですが、数人が時速200Km超えを出しています。世界で活躍する男子選手の先駆けとなった松岡修造さんも時速220Kmのサーブを打っています。それを破った日本人は添田豪選手で、222Kmでした。
女子の最速サーブは、時速220km。188cmのジョージナ・ガルシア・ペレーズという選手です。大坂なおみ選手も時速201kmを記録しています。女子もパワーテニスをしている証拠ですね。