テニスのエルステ・バンク・オープン(ウィーン・オープン)とは
目次
大会名にもなっている冠スポンサーのエルステ・グループは、オーストリアに本店を置く銀行グループです。
翌週にパリマスターズが控えていますし、一年間のランキングに大きく響く時期でもあるので、エルステ・バンク・オープンは重要な大会の一つと言えるでしょう。ただ、ここまでタフな日程をこなしてきた選手にとっては、体調の調整も厳しくなってくるようです。
この大会の特徴と言えば、ボールパーソンかもしれません。ボールを拾うときに素手ではなく、ラケット型の小さな網でボールを拾っているので、試合の合間にぜひ見てみてください!
エルステバンクオープンの概要
10月末にウィーンで開催されるエルステ・バンク・オープンは、開催地にちなんで「ウィーン・オープン」とも呼ばれます。50年近い歴史があり、歴代チャンピオンにはビッグネームも並んでいます。シーズン最後のATP500の大会です。翌週のパリマスターズと同様、屋内のハードコートで行われます。
2021年のエルステ・バンク・オープンの大会概要をご紹介します。
開催地 | ウィーン(オーストリア) |
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会場 | ヴィーナー・シュタットハレ |
サーフェス | ハード |
開催日程 | 10月第4週 |
獲得ポイント | 500ポイント |
獲得賞金 | 総額:約184万ユーロ |
ドロー数 | シングルス:32、ダブルス:16 |
公式ウェブサイト | https://www.erstebank-open.com/en/ |
エルステバンクオープンの開催地/会場
国土面積が北海道とほぼ同じという小さな国・オーストリアですが、自然も歴史も文化も街並みも非常に魅力的。エルステ・バンク・オープンが開かれる首都・ウィーンは音楽の都と呼ばれます。
シューベルトなど偉大な作曲家がウィーンで誕生したり活躍したりし、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの交響楽団やウィーン少年少女合唱団といった世界的にも有名な音楽団体がたくさんあります。また舞踏会の街でもあり、宮殿も多く、優雅なイメージです。「ウィーンの森」と言われる広大な森やドナウ川など、美しい自然もこの街の特徴です。
エルステ・バンク・オープンが開催される10月末のウィーンは冷え込むようです。気温も北海道と同じくらいと考えておくといいかもしれません。ただし、試合が行われるのは屋内コートなので、天候に左右されることなく安心して観戦できるでしょう。
エルステ・バンク・オープンの会場は「ヴィーナー・シュタットハレ」と呼ばれる所で、テニスの他にもプールやアイススケートリンクなどのスポーツ設備、多目的ホールなどが備わっている大きな施設です。コンサートや展示会、国際的なスポーツ大会など様々なイベントに利用され、年間100万人以上が訪れるヨーロッパでも屈指のイベントセンターです。エルステ・バンク・オープンの際は、オーストリア最大の約16,000人を収容できる屋内アリーナがセンターコートとなります。
エルステバンクオープンの開催日程
エルステ・バンク・オープンが開催されるのは、10月の最終週です。スイスインドアと同じスケジュールで開催されます。
エルステバンクオープンのサーフェス
エルステ・バンク・オープンは、屋内ハードコートで行われます。ボールの打球音が響き渡るのも特徴のひとつです。
エルステバンクオープンの獲得ポイント/獲得賞金
エルステ・バンク・オープンで、優勝者・準優勝者が獲得できるポイントと賞金をご紹介します。
ATPツアー500
ATPツアーの中で、エルステ・バンク・オープンはATP500大会に含まれます。優勝者には500ポイント、準優勝者には300ポイントが付与されます。また、2021年大会での賞金は、優勝者125,520ユーロ、準優勝者が92,740ユーロでした。
なお、ATP500とは、男子プロテニス協会「ATP(Association of Tennis Professionals)」が運営する大会です。トップ選手が参加する主なATPツアーは「グランドスラム」「ATPファイナルズ」「マスターズ1000」「ATP500」「ATP250」とあり、その中のATP500は年間13大会行われます。上位30位以内の選手(コミットメントプレーヤー)には、ATP500の13大会のうち4大会に出場義務があり、さらに全米オープン以降に行われる大会の中で少なくとも1大会に出場しなければなりません。全米オープン以降のATP500は、ジャパンオープンを含め4大会です。
エルステバンクオープンのシングルス歴代優勝者
エルステ・バンク・オープンの2010年からの優勝者をご紹介します。
男子
2021年 | アレクサンダー・ズべレフ |
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2020年 | アンドレイ・ルブレフ |
2019年 | ドミニク・ティーム |
2018年 | ケビン・アンダーソン |
2017年 | リュカ・プイユ |
2016年 | アンディ・マレー |
2015年 | ダビド・フェレール |
2014年 | アンディ・マレー |
2013年 | トミー・ハース |
2012年 | フアン マルティン・デルポトロ |
2011年 | ジョーウィルフリード・ツォンガ |
2010年 | ユルゲン・メルツァー |
エルステバンクオープンの名場面
どんなに一流でも、選手にはいつか必ず引退の時がやってきます。オーストリアのユルゲン・メルツァーは、地元のエルステ・バンク・オープンを引退の場と決めました。その日は2021年10月27日。アレクサンダー・ズべレフと組んだダブルスで初戦敗退し、これが現役最後の試合となりました。
40歳のメルツァーは主にダブルスプレイヤーとして活躍してきましたが、シングルスでも成績を残しています。特にこのエルステ・バンク・オープンでは2009年・2010年とシングルスで2年連続優勝していますから、地元のテニスファンを喜ばせたことでしょう。
最高ランクはシングルスで8位、ダブルスで6位。この地で始まった約22年間の選手生活の中で、シングルスではジョコビッチに勝利したり5度のツアー優勝をしたり、ダブルスでは2度のグランドスラム優勝を果たしたりと素晴らしい成績を収めています。メルツァーの引退はオーストリアのテニスファンには残念でもあり、また今後の道が楽しみでもあるでしょう。
メルツァーが引退したこの年のエルステ・バンク・オープンでは、メルツァーのダブルスパートナーのズべレフがシングルスで優勝しました。ズべレフからのはなむけだったのかもしれませんね。