【試合で勝てる】フォアハンドの打ち分けと練習方法をプロコーチが伝授
目次
テニスの試合、特にシングルスにおいて、試合作りの土台となるのがストローク力です。皆さんは普段ラリーをする中で、どのようにフォアハンドを打ち分けていますか?
そもそも打ち分けることを意識していない方も多いかもしれませんが、相手にどんな球を打たれたかによって、返球の仕方は変わります。とても浅い球がきたら打ち込んだり、ぎりぎり触れるボールを返すときはロブを打ったりしているはずです。
今回は、場面ごとにどんな球をどのように打ち分けるべきなのか、その練習方法についてもご紹介します。
フォアハンドの打ち分けとは
まずはフォアハンドを打ち分けるときの選択肢を整理しましょう。今回は大きく分けて以下の3つの選択肢を考えてみます。
- 攻め
- ニュートラル
- 守り
各ショットについて、どんな場面で使うのか、どのようなポイントを意識すべきなのか、詳しく見ていきましょう。
フォアハンドの打ち分け①攻め
まず1つ目は「攻め」です。
ベースラインより前に入って高めの打点で打てるときや、相手から浅い球が返ってきたときに使います。
前に入って低めの弾道でしっかり打ち込みますが、75%くらいの力で打つことがポイントです。それ以上の力を出すとコントロールしづらくなり、アウトしやすくなるからです。
弾道は、ネットよりラケット1本分上を通すイメージを持ちましょう。
フォアハンドの打ち分け②ニュートラル
2つ目は「ニュートラル」です。
普段のラリーのようなベースラインから打つときに使います。
ニュートラルを使う場面では、無理に攻め込む必要はありません。ひとまずつないで試合の流れをつくっていく段階なので、リスクを負わず50%の力に抑えられると完璧です。
弾道はネットの2〜3倍上を通すようにしましょう。
フォアハンドの打ち分け③守り
3つ目は「守り」です。
ベースラインより後ろに下げられたときに使います。
この場面では良い体勢でないことも多く、そもそも25%くらいの力しか入れられないかもしれませんが、それで構いません。
弾道はニュートラルのときよりもさらに上を通します。ネットミスをしないように気をつけましょう。
フォアハンド打ち分けの練習その1:手出し(各ショットの個別練習)
以上の3つを打ち分けられるように、まずは各ショットを手出しのボールで個別に練習しましょう。
ネットの何倍上を通すかイメージする
ご紹介した通り、各ショットには理想の弾道の高さがあります。とりあえず上に打つという漠然としたイメージではなく、ネットの何倍上を通すか、空間として具体的なイメージを持ちましょう。
守りを打つときは打点がぶれないようにする
一番難易度が高いショットは、実は守りです。
守りの球を打つときに大事なことは、打点をぶれさせないことです。そのためにはボールの後ろにしっかり入りましょう。
後ろ体重になることや、右肩が下がることなどは気にしなくて構いません。また打点が低くても高くても構いませんが、打つたびに打点が前後にぶれることだけがないよう意識しましょう。
フォアハンド打ち分けの練習その2:手出し(ランダム)
各ショットの個別練習ができたら、次は手出しの球をランダムにして、攻め、ニュートラル、守り、どのショットを選択するべきか分かった瞬間に声に出し、言った通りに動いてボールを打っていきます。
弾道(ネットのどのくらい上を通すか)、打点、パワーに気をつけて練習していきましょう。
フォアハンド打ち分けの練習その3:ラケット出し
続いてラケット出しを行ないます。
球出しのボールがネットを越えたあたりで、素早く攻め、ニュートラル、守りのどのショットで打つかを判断しましょう。ショットの選択を間違えることもあるかと思いますが、早めに判断することが大事です。迷いすぎず、まずは素早く判断する癖をつけましょう。
フォアハンド打ち分けの練習その4:ラケット出し+訂正
ショットの判断をてきぱきとできるようになってきたら、次はその判断が正しかったかどうかを振り返る、訂正の練習を加えていきます。
引き続きラケット出しを行ない、相手のボールがネットを越えたあたりでどのショットを打つか判断することは変わりませんが、もし選択を間違えたと思ったらすぐに言い直して、ベストだと思うショットを打てるよう動きましょう。
訂正は臨機応変に
例えば、ニュートラルだと思っていたものの意外と余裕があるときや、風で戻って前に踏み込めるとなれば攻めのショットに訂正できます。逆にチャンスだと思っていたものの相手の球が伸びてきて体勢が悪くなれば、攻め→守りでスライスという訂正の仕方もあります。風やイレギュラーで直前にショット変更となる場合もあるので、臨機応変に訂正しましょう。
最善のショットを選べるようになることが大切
訂正は何回しても構いません。また、訂正した判断が間違っていても大丈夫です。
この練習では、間違いに気づいて訂正できる判断力を養い、ショットの選択ミスをなくすことが目的です。ショット選択を間違えたときにその自覚をもって、最善の選択肢を選べるように練習していきましょう。
フォアハンド打ち分けの練習その5:ラリー
続いて、ラリー練習です。ここで意識すべき練習のポイントは2つあります。
コースと深さを付ける
まず1つ目は、各ショットにコースと深さを付けることです。
そもそもポイントのゴールとしては、相手にニュートラルや守りの球を打たせて、自分が攻めのショットで決めることです。そのため、自分がニュートラルや守りのショットを打つときには、相手の立場もニュートラルや守りになるような配球をしたいところです。
シングルスの場合、守りのショットを打つときはクロスかセンターの深いところに打つのが安全です。
ニュートラルのときも基本的にはクロスに深く返しましょう。余裕があればアングルという選択肢もありますが、ニュートラルはリスクを負って攻める場面ではないので、無理しないことが前提です。
攻めのショットを打つときはストレートもあり、クロスに打つのももちろん効果的です。
先読みして動く
もう1つのポイントは、自分が打った球によって相手からどんな球が返ってくるのか予想し、その次自分が①〜③のどの球で打てるのか先読みすることです。
ニュートラルや守りのショットを使ってラリーを続けているのは、すべて攻めのショットを引き出すための準備です。
ニュートラルや守りのショットがうまくいったら、次は攻めで打てる球が返ってくるかもしれないので少し前に入っておく、ニュートラルや守りのショットがうまくいかなければ、次もニュートラルや守りのショットを打つつもりで後ろ目に構える、といった具合に先読みして動いていきましょう。準備を早くすることによって攻めで打てるチャンスが増えるはずです。
この練習でも、判断を間違えたと思ったら訂正することをお忘れなく。
フォアハンド打ち分けの練習その6:全面ラリー
最後に、全面でのラリー練習に入りましょう。シングルスの試合の状態とほぼ同じです。
フォアハンドだけでなくバックハンドも入ってきますが、ここで意識したいのは攻めで打つ回り込みフォアハンドです。
攻めで打つ回り込みフォアハンドが効果的
バックハンドで打つだろうと思っているところへ、攻めと判断して回り込みフォアハンドで思い切り攻めると良い武器になります。もちろんバックハンドで攻めを打てることも大切ですが、回り込みフォアハンドの攻めもできるとより効果的です。
どこかで攻めのポイントを見つけてぱっとポイントを終わらせることが大事なので、普段だらっとラリーをしている人もポイントのゴールを意識して練習しましょう。
相手と会話するようにラリーしよう!
このフォアハンド打ち分けの一連の練習で大事なことは、
- 攻めを引き出すこと(相手に浅い球を打たせること)
- 攻めを見つけ出すこと(先読みして攻めで打てる球を増やす)
です。
攻めの判断が遅れると、選択肢がニュートラルか守りだけになってしまいます。そのため、判断するタイミングとしては攻めが一番早くないといけません。ニュートラルや守りの判断はなんとなくでも構いませんが、それでもなんとなくしすぎていると守りしかできなくなります。
そこで大事になるのが、やはり先読みすることです。自分が打った球によって相手がどんな体勢になっているか、また相手の傾向(守りのボールは浅くなりがちなど)をとらえて先読みして動いていきましょう。
土居コーチは、これを「相手と会話するようにラリーする」と表現していましたが、自分の打った球に対して相手がどんな反応をしてくるか。そこに意識を向けて、次自分が打てる球をなんとなく分かっておくことが大切です。
ラリーの中で上達していこう!
以上、フォアハンドの打ち分け練習方法を段階的にご紹介しました。
- 手出し(各ショットの個別練習)
- 手出し(ランダム)
- ラケット出し
- ラケット出し+訂正
- ラリー
- 全面ラリー
練習ステップを上げるごとに課題が見つかるかもしれませんが、課題があっても個別練習のステップに戻るよりかは、ラリーの中でできるようになっていくことが理想的です。というのも、①攻めを打つと分かっている状態で打つ(個別練習)のと、①攻めかどうか分からない状態で打つ(ラリー練習)のでは、状況もプレッシャーも全く違うからです。
より実戦に近いラリーでの練習を重ねて、シングルスの試合で勝てるフォアハンド打ち分けスキルを磨きましょう!